みちのくの初夏
広大な砂浜
初夏のみちのくにハマナス咲く
このバラ科の野生種は
一面にかぐわしい香りを放っている
骨のような流木がところどころにころがり
聴こえるのは波の音ばかり
訪れる人はまばらだが
鳥の姿は濃く
瞬く間に両手で数えるほどの種類が
しかし背後には津波の跡がそのまま
枯れた松林が不思議な姿をさらす
5年たち
枯れた葉がすっかり落ちて
棒のような幹だけが突っ立っているのだ
近くには要塞のような防波堤の建設が迫っている
この美しい植生も
やがて人の生活のために分断されるのか
多くは防波堤のために壊され
半分は外から見えなくなってしまうだろう
人と自然の距離が開いていく予感がする