過ぎゆく季節に
気が付くと
ひとつの季節が密やかに過ぎていった
風が吹く度に次々と手を離していく
次の世界へと旅立つ葉らよ
君の生は今度は他者を育てるために使われる
深く積もる落ち葉は
来るべき冬から多々な生を守る母となり
冷たい世界を春まで優しく遮断する
たとえ木枯らしが吹いて
身をすくめて歩く者ばかりになっても
それは世界のほんの一面にしか過ぎないと知る
豊かな生が育まれる森の中で
木々の下で生まれる物語に耳を澄まそう
目を凝らしてそこにある真実を見つめよう
自然の豊かさが垣間見える最晩秋の時